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小布施日和

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チャプレンからのメッセージ

降臨節の黙想 ― 「そばにいる」ということ―

*降臨節(クリスマス前の時期)に発行された『新生礼拝堂教報』2019年12月号より、記事を転載します。



私の尊敬する聖公会信徒であり、近代ホスピスの母と呼ばれる、シシリー・ソンダース(1918-2005)という医師が、次のような言葉を残しています。1.jpg
「ホスピスとは、耳を傾けることである」。がんの患者さんにとって必要なことは「not doing but being」(何かをすることではなく、寄り添うこと、そばにいること)。これらは、いずれも患者さんやご家族と関わる上で、とても大切な姿勢だと思います。



リサイズ.jpg 私達は、誰かのためになりたいと考えるとき、「何ができるか」と必死に考えますが、むしろ「ただそばにいてくれること」「興味や思いをもって、耳を傾けてくれること」を願っている人は、世界中にたくさんいます。私達の存在そのものが、誰かの癒しになったり、励ましになったりするかもしれないのです。相手は必ずしも遠くにいるとは限りません。ひょっとすると、すぐそばの家族や友人が、あなたに「ただそばにいてほしい、耳を傾けてほしい」と願っておられるかもしれません。
私達の神様に対する信仰についても、同じように考えることが出来ます。祈る時に私達は、あまりに多くのことを一方的に神様に伝えるだけで、その返事を、思いを、十分に聴くことができていないのではないでしょうか。
「すぐに結果が出てほしい、すぐに行動したい」。
そのような思いが空回りしてしまうことはないでしょうか。私達は「待つ」ことのできる信仰者にならなければなりません。神様は必ず、もっとも良い答えを未来に用意していて下さるのですが、それを私達が受け取るのは、すぐではないことも多いのです。
降臨節とは「待つ」季節であり、また「神共にいます(インマヌエル)」という預言の成就を待望する時期です。人類が待望してきた救いが、幼子としてベツレヘムに生まれたこと。それを信じる者達は、「神様その人がいつも自分達の思いに耳を傾け、寄り添って下さる」という事実を、聖書の御言葉を通じて体験することができます。そしてそのご誕生の喜びに触れた者達は、自分達の悩みや希望についても、確かな答えがいつか与えられると信じて、神様の呼びかけを待つことが、できるようになるのです。
(執事洗礼者ヨハネ大和孝明)