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小布施日和

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チャプレンからのメッセージ

「友と歩む旅」マルコによる福音書第6章7-13節(2018年7月15日の「み言葉の礼拝」より)

人はなぜ、旅をするのでしょうか。人間の心の中には、自分の環境や、自分自身を抜け出ていきたいという憧れがあるからではないでしょうか。外へ出ていきたいという心、それは究極的には、天地を創られた神様との出会いを、求めてやまない、私達の心と重なり合います。一方で私達は、戦乱や災害によって、経済的な事情から、あるいは様々な困難によって、住み慣れた場所からの脱出を余儀なくされることがあります。すべてを捨てて、別の場所へ。これもまた、苦しみのただなかで、神様と出会う旅ということができるでしょう。

イエスは、そのいずれの「旅」をも経験された人でした。彼は旅する人でした。一か所にとどまることなく、常に悩む人、苦しむ人との出会いを求めて旅をつづけました。他方で彼は、誕生の時に、ヘロデ王の迫害を受けてエジプトへと避難しました。イエスは生まれた時に難民の経験をし、公生涯においても「人の子は枕するところもない」(マタイ8:20)日々を送られたのです。

本日の福音書をみてみましょう。イエスは12人の弟子を2人ずつ組にして派遣します。そして、厳しい命令を出します。「旅には杖一本のほか何も持たず、パンも、袋も、また帯の中に金も持たず」。これはとても困難なことです。頼るものを何も持っていくなというのです。ただ杖と靴だけを許された、つまり「歩き続けるように」と命じられるのです。それは、物を乞い歩く放浪者のようであれ、という命令でした。一見無茶な命令に見えます。しかしイエスは、杖と履物以外に、弟子達に大切なものを2つ与えています。まず、「2人1組であること」、つまり友です。そして、イエスご自身の権威・権能です。(ここからは黙想になりますが、)イエスは「何事も1人きりで解決しなくてよい」と言っているのです。「2人で助け合い、私に信頼して歩め」と言われています。弟子達は、はじめは不安と困惑のうちに、歩みを始めたかもしれません。しかし、何も持たないで始まった彼らの旅は、多くの信仰の友を得る、豊かな収穫の旅として終わったことでしょう。福音書には、イエスを各地で出迎えた、信徒達の姿が描かれています。それはこのような、弟子達の宣教によって生まれた共同体だったのではないかと推測されます。

私達は時に、人生の旅に疲れて、「もう前に進めない」と思います。その時に、イエスはただ、前に進むための杖と履物、愛する友、そして聖書のみ言葉を与えられます。心配する必要はありません。私達の旅路で本当に大切な最低限のこと、最も大切なことは、神様が備えてくださっているのです。み言葉に信頼して、信仰の友と歩みましょう。良い旅を!


*7月27日(金)須坂市の工房和久井のご協力により、オルガンの修理・調整を行いました。オルガニストのみなさんも立ち合いました。このオルガンは、病院建設や礼拝堂献堂とほぼ同時期の、1930(昭和5)年に製作されたもので、スタート博士も弾かれたという歴史のある楽器です。調整により、素晴らしい音色が甦りました。礼拝でこれからも末永く、賛美と奉仕のために用いられていきますよう、願っています。 オルガン修理.jpg