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チャプレンからのメッセージ

ここに大麦のパン五つと魚二匹とをもっている少年がいます。けれども、こんなに大勢の人では、何の役にも立たないでしょう
ヨハネによる福音書6章9節

新生礼拝堂とスタート博士記念館でのサマーキャンプ

7月18日(土)午後2時から20日(月)午前11時までの3日間、新生病院のチャペルである新生礼拝堂とスタート博士記念館には、賑やかな子どもたちの声が響きました。夏の暑さにも雨にも負けず、子ども6名と大人14名がキャンプを行いました。

20150619.bmp20150619.bmp 集まって自己紹介をし、名札を作り、病院の中を回りながら、初代院長のスタート博士の記念碑や教会にある納骨堂、そして、病院創立70周年と80周年の記念樹であるメイプルと棕櫚の木、患者さんのリハビリにも利用されるオープンガーデンでもある散歩路を歩き、ミスパウル記念館を回りながら、場所に馴染む時間を持ちました。

食事は全部手作りで、BBQや、カレーライス、ソーメン、パン、スイカ、ネクタリン、もも、トウモロコシ、アイスクリームなどお腹いっぱいの幸せな時間。子どもたちも食前の準備と後片付けも手伝ってくれて、皆で食卓を囲むありがたさも感じました。

暑かったけど、オアシスおぶせまでの川沿いの堤防と林の道を1時間以上歩きたどり着いたら、いきなり降ってくる雨で急いで帰ってきましたが、温泉の後の冷たいソーメンと絵本読み聞かせの温まる気持ちで過ごすことができました。

3日間のキャンプを終え、振り返ると患者さんと家族、医師、看護師、介護士、職員がいる病院でキャンプをするというのがどういう意味なのかと考えてみました。


83年前にこの地に結核療養所を建てた人々は何を大切にしていたのか。『キリスト教信越伝道史』に、次のようなウォーラー師の言葉があります。

「我々は毎年、我々の人的資源と資力をいかに最上に用いるかについて話し合うために年に一度、ミッション・カンファレンス(宣教団会議)を開いているが、その時いつも話題になっていた《白い疫病》(肺結核)というテーマについて話していた。はじめは我々のような小さなミッションがとりくむにはあまりにも大きな問題であるように思われたが、後になると、たとえ沢山のことができなくても、百分の一の仕事でもこれは我々のなすべき義務であるという考えに一致した」

ウォーラ―師やウイリアム司祭、ハミルトン主教らにより、日本での療養所建設が発議されたのは1925年。彼らの訴えはすぐ受けいれられず、「それほど結核が流行しているなら、なぜ日本政府は自分で療養所を立てないのか」という見方から多くの質問に答えながら説得に長い年月が必要だったこと、日本でも結核は伝染病であるため33ヶ所で反対を受け、34番目の候補地であった小布施で結核療養所を建てることができたこと。
特に、日曜学校にかよう小さな子どもが「日本のために」と一ダイム(25セント)銀貨をピカピカに磨いて教会へ持ち寄ったというエピソードまで。

83年後の子どもたちにその小さい子どもの思いを伝えたいと思います。

その人々もこの新生病院と新生礼拝堂、スタート博士記念館で響く子どもたちの元気な声を喜んでいるのではないでしょうか。

<日本聖公会中部教区 司祭 フィデス金善姫>