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小布施日和

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チャプレンからのメッセージ

あなたがたは敵を愛しなさい
ルカによる福音書 6:35

     

 いまから10年ほど前、アメリカのケーブルテレビ局CNNは、原爆記念日の8月6日に、 広島・長崎への原爆投下は必要だったのかの世論調査をアメリカで行ないました。 そこで、8割以上のアメリカ人は、「広島・長崎への原爆投下がなければ更に50?100万人 のアメリカ兵が死傷していた」として「必要」と回答をしています。しかし、 これは事実ではなく、想像の産物であるということは重要です。
歴史学者たちの努力によって、根拠とされた人数が実は捏(ねつ)造に等しいものであることが明らかにされます。 戦後、原爆投下が犯罪呼ばわりされたことに危機感を抱いたハーバード大学の コナント総長を中心に「50?100万人」という数字が作られたのですが、 後に、米軍上層部のレポートから45年11月の九州上陸作戦、 更に46年3月の東京正面への上陸作戦を行ったとしても、 最大で46,000人の戦死者数を予測していたことを発見します。
想像することはけっして悪いことではないと思います。
しかし、自己の悪を隠ぺいするような想像ではなく、 平和を作り出すような想像であればという前提が必要であると思います。
私たちの生きるこの時代は、今また戦争の臭いが漂い始めました。 私たちは、この時代に、平和を作り出すような想像をしたいと思います。 ジョン・レノンが「想像してごらん 国なんて無いんだ」と歌ったように。 そして、想像するにあたって、イエス様が「善は戦わない」ということを強調している点を 大切にしたいと思います。 戦うのは常に悪と悪であって、善は戦わないのです。 善は敵を愛するのです<「あなたがたは敵を愛しなさい」(ルカ6:35)>。 私たちにとって大切なことは、「敵を愛する」という想像力、 もっと言えば、「敵であったとしても、おだやかにそうだんをして、きまりをつけよう」 という想像力であると思います。

第二次世界大戦終結後に短期間使用された、中学校1年生用社会科の教科書である 「あたらしい憲法のはなし」の「戦争放棄」には以下のように書かれています。 「よその國と爭いごとがおこったとき、けっして戰爭によって、相手をまかして、 じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。 おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです」。 こういう理想主義を、ピュアなまま持ち続けたいと思います。 たとえ幼いと言われようと、そんな純粋な想像力にこそ聖霊が働いて、未来が作られていくと思います。

<新生礼拝堂牧師 司祭 ヨセフ石田雅嗣>