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チャプレンからのメッセージ

「平和を実現する人々は、幸いである 」
マタイによる福音書 第5章9節

     

毎年6月23日は「沖縄慰霊の日」です。8月6日・9日の広島・長崎平和記念日、15日の終戦記念日と共に、絶対私たちの記憶から風化させてはならない日です。

いや戦後62年たった今、「戦争を知らない世代」が戦争体験者の人口よりかなり多くなっているので、むしろ『戦争の歴史を語り継ぎ、きちんと歴史を踏まえて生きていく心構えを教えられる日』として大切に記憶せねばならない日と考えます。
6月23日は「沖縄戦」で日本軍が組織的に戦争を終了した日=「沖縄慰霊の日」として定められ守られてきているのです。



新生病院
チャプレン(牧師)
司祭 松本正俊

「沖縄戦」にはいくつかの特徴がありました。

第一に、住民を巻きこんでの唯一の地上戦だった、他国の侵略しか経験したことがない日本軍が初めて国内の戦いに追い込まれたということ。

第二に、100日余におよぶ激しい日米最後の地上戦で、"鉄の暴風"といわれる米軍の攻撃により、一般住民、兵隊の肉体と精神の破壊は壊滅的であった。

第三に、「現地総動員作戦」、日本軍は本土決戦の兵力温存の為、「現地自給」「一木一草戦力化」の方針をとった、ということです。
校舎や民家が兵舎になり、食糧などの供出強要、陣地構築のための微用の強制、同時に法を無視して13歳から70歳代の年寄りまで「根こそぎ動員」したのです。

第四に、戦闘員より非戦闘員である一般住民の戦死者が多いということ。
しかもそれは単に米軍の攻撃だけでなく味方であるはずの日本軍によっても多数の生命が奪われていったところに悲劇があり「住民虐殺」「集団自決」が頻繁に起こりました。

ようするに、沖縄における日本軍は、軍国主義天皇を中心とした国家体制=国体を護り維持するための終戦工作に必要な「時間かせぎ」「捨て石」にする任務をもち、本土上陸を1日、1時間でも遅らせるため住民を巻き込んだ持久作戦をとったのです。これではやはり、沖縄の人々にとってやり切れない体験だったと思います。悔しくて無念で苦しくて辛い体験だったと思います。


ローマカトリック教会の前教皇ヨハネ・パウロ?世は、1981年に来日された折りに次の様なことばを語られました。


「戦争は人間のしわざです。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です。」


愚かな戦争、生命の破壊をやめて、人間は平和を創り出す者、平和を実現する存在である、と訴えられました。



沖縄の人(ウチナンチュ)は、沖縄戦の体験から「ヌチドゥタカラ(生命こそ宝)」「イチャリバチョーデー(行きあえば兄弟)」「チムグルサン(肝苦さん)」等のことばを大切に、モットーとして歴史を語り継ぎ、平和を追い求めて来られました。
私達は沖縄の人々の「チムグルサン」という極限の苦しみ悲しみを経験した者だけがもっている優しさ、共感の気持ちの伴った「沖縄の心」からくる反戦・平和の切実な声に耳を傾け、呼応し連帯したいものだと考えます。

そして「平和を実現する」者になりたいと思うのです。