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チャプレンからのメッセージ

「「傍らに立ち、共に歩く」(2020年スタート博士記念式説教)」

2020.05.08

「イエスは町や村を残らず回って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、ありとあらゆる病気や患いをいやされた。 また、群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐れまれた。 そこで、弟子たちに言われた。『収穫は多いが、働き手が少ない。 だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。』」 (マタイによる福音書第9章35〜38節)

1977年5月1日、R.K.スタート博士は東京の聖路加病院にて永眠されました。新生病院の元患者や職員の集まりである「山彦会」の招きにより来日された直後に、体調を崩されたことによる、突然の逝去でした。それから43年。私達は今、その人生をしのぶと共に、未来に向けて思いを新たにするため、この場所にいます。

時はまさに、全世界を襲う感染症の流行のさなかにあります。老若男女を問わず、多くの人が病に倒れ、患者様、ご家族や医療従事者は、今も病気と闘っています。医療や福祉にたずさわる者は、かつてのスタート博士やカナダミッションの人々がそうであったように、「病や生活の困難に苦しむ人の傍らに立ち、癒し、慰める」という使命を持っています。患者様・利用者様は、自分が孤独でなく、共に病気と闘ってくれる家族や友人、医療・福祉従事者がいるということを心の支えとしているのです。

本日の聖書箇所で、イエスは「群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐れまれた」とあります。この「憐れまれた」という言葉は、元の言葉の意味では「断腸の思い」、苦しむ者への共感のあまり、自分の内臓がとどろくように痛む、そのような強い感情を表しています。イエスはただ単に病気を癒されたのではなく、誰にも関心を向けてもらえず、世話をしてもらえず、希望を持つことができない人々の孤独を感じ、深く共感し、その孤独をこそ癒そうとされたのです。そして、「収穫のために働き手を送って下さるように」と願います。一人でも多く、これらの人々のために働く者を育てて下さるようにとイエスは祈ったのです。

私達はイエスの姿に、またスタート博士の姿に、「病」ではなく「人」を癒そうとする、「全人医療」の原点をみることができます。自らも患者様・利用者様と同じ場所に立って、治療や支援の手立てを尽くし、見返りを求めることなく、謙遜に自分の務めを行っていく、確かな姿をみることができます。そして、次の世代へと自分達の技術や知識、そして思いを伝えていこうとする、情熱を感じることが出来ます。私達にも、先人達の情熱を受け継ぎ、それぞれの場所で、苦しんでいる誰かの傍らに立つ者となること、そしてこれから生まれてくる未来の働き手へと、確かな仕事と思いを受け渡していくことが、必要とされているのではないでしょうか。「主は今も、いつも生きておられる」。古代ユダヤの民はこの言葉を挨拶としていました。私達も、スタート博士をはじめとするカナダミッションの方々から受け渡されてきた愛と奉仕の精神を、情熱を、今もいつも燃やし続け、皆で共に歩くものとなっていきたいと思います。

2020.5.1スタート博士記念式での大和チャプレン説教より

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