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地域医療の未来を見つめ、健全経営を目指す

更新日:2017/11/10

先行投資が生んだ成長のためのパラドックス

 2009年度から続いてきた医業収支の黒字。しかし、新生病院は2015年度決算において6期ぶりに赤字を計上します。その大きな要因となったのが、2015年9月に行われた電子カルテの導入による諸経費の増加、また人件費の伸長でした。  AI(人工知能)やICT(情報通信)の発展が目覚ましい今日、安全で質の高い医療サービスの提供に繋がる電子カルテの導入は、一日も早く着手しなければならない設備投資でした。  また、「職員の待遇改善と求人競争力の確保」をめざして、2012年度より3ヶ年にわたって段階的に取り組んだ全職種の給与改善は、看護師、リハビリセラピストなどのコメディカルの確保・増員に大きな成果を生むことになりました。
 医業経営の成長のためには設備投資や人的な投資は避けて通れず、その成果を生み出すまでには若干のタイムラグが発生する。そんなパラドックス(矛盾・逆説)をいかに冷静に見つめ、乗り越えていくことができるか?
 2015年度の決算は、新生病院に新たなチャレンジを与えました。

グループ法人化を進め、地域包括ケアシステムの構築へ

 2015年9月、新生病院のグループ法人として特定非営利活動法人パウル会が設立されました。将来的に社会福祉法人格の取得をめざしNPOとして誕生したパウル会には、新生病院の介護保険事業部門(訪問看護、居宅介護支援事業所)を移管。翌2016年4月には、須坂市内においてサービス付き高齢者向け住宅「ナーシングホーム須坂」を開設、運営をスタートさせました。
 こうした展開は、新生病院が創立80周年を迎えた2012年度より、事業の将来構想(マスタープラン)検討の中で計画されたもの。それはまた、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を進めるものでした。
 同じく2016年2月には、海外医療協力・被災地医療支援、歴史・理念伝承事業、環境・交流事業など社会貢献事業を行うNPO法人ワンダイムも設立。従来から営業を続けているメディカルサポート法人の株式会社メイプルもあわせ、新生病院のグループ法人化が図られ、地域包括ケアの時代への布石が敷かれていきました。



リーダーたちの力を結集したプロジェクトチームで改革を加速

 2016年4月、新生病院には各部門の管理職が中心となった「経営改善プロジェクトチーム」が誕生します。例えそれが発展のためのパラドックスであったとしても、前年度の赤字決算を厳しく評価・分析し、黒字化へのV字回復を達成させる取り組みが始まったのです。また、そこには外部コンサルティング会社による支援も導入、第三者の客観的な目線による現状把握と課題整理にもとづき、これまでの先行投資を確実に回収する対策が実施されていきました。
 以下に、プロジェクトチームによる改善の成果を紹介します。

訪問診療の拡大
 在宅療養支援病院として地域の中で訪問診療の先駆けであった当院は、その動きを加速させていきました。主力となる医師を筆頭に、訪問診療専門の看護師とが連携し、件数を伸ばしていった結果、年間の訪問診療(往診含む)件数は2,000件を超えました。実に2015年度の2倍の件数まで増加したのです。
 居宅系介護施設などへの訪問診療も、その求めに応じて積極的に行いました。近隣のグループホームをはじめ、パウル会のサ高住「ナーシングホーム須坂」などそのフィールドを広げていきます。それは診療報酬の「施設入居時等医学総合管理料」の算定件数について、4月に6件であったものが年度末の3月には60件と増加したことからも分かります。
 さらに近年、算定実績のなかった「在宅がん医療総合診療料」を訪問看護ステーションとの連携のもと9月から算定を再開し、3月には105件を数えるに至りました。

新たな施設基準の取得
 自分たちの医療レベルを上げて、新たな施設基準の取得を検討した結果、入院基本料の引き上げや新規加算の算定を進め、年間1,000万円を超える収益増に繋げました。
 2016年度に取得した施設基準は以下のとおりです。
 ・地域包括ケア入院医療管理料1(2から1への引き上げ)
 ・退院支援加算1
 ・在宅復帰機能強化加算
 ・医師事務作業補助体制加算1(50対1)

病床種別の変更
36床ある一般病棟のあり方について、一般病棟入院基本料(10対1)と地域包括ケア入院医療管理料1とによる収益シミュレーションを行い、収益的にも機能的にも最適な病床数の算出を図りました。その結果として、2016年度当初6床であった地域包括ケア病床を、11月には10床へと増床しました。

 コンサルタントによる支援とプロジェクトチームを中心とした実行の両輪がうまく機能し、2016年度は黒字決算を達成しました。前年度との比較では、医業収入について外来診療収益が5,300万円増となるなど総額5,500万円の増収、その一方で医業原価(支出)は5,400万円の圧縮となり、医業総利益(収支)では1億1,000万円の増益を果たすことができました。管理職を核にして全職員が改革、改善に向けて意識を高め、努力を続けた結果が、大きな実を結んだのです。

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健全経営をめざして新生病院が挑戦すること

 新生病院は、地域の患者さんによりよい医療サービスを提供し、かつ職員の生活力を向上させていくために進化していかなければならないのです。

 そこで2017年度には、2つの中期目標が掲げられました。

①「健全経営の実現」
 2018年度から人件費比率を減らし、2021年度以降、 常に人件費比率60%を下回るようにする

②「職員の処遇改善」
 2018年度から2021年度まで①のプロセスと並行し、年間の賞与額を0.1ヶ月ずつ増額し、給与改善の原資としながら、①の達成に合わせて本給のベースアップをはかる

 2016年度に発足した「経営改善プロジェクトチーム」は、2017年度にはより専門性に特化した5つのプロジェクトチーム(外来経営改善プロジェクト、病棟経営改善プロジェクト、在宅経営改善プロジェクト、人財育成プロジェクト、医師マネージメントプロジェクト)に再編されました。 
 目標達成への道のりは決して容易ではありませんが、新生病院の職員たちは未来のゴールに目を向け、歩みを続けているのです。地域医療の未来のために・・・。