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チャプレンからのメッセージ

「誰かの『山彦』として生きる」(2018年5月1日スタート博士記念式でのお話より)

2018年4月から新生礼拝堂の勤務となりました、聖職候補生洗礼者ヨハネ大和孝明と申します。
管理牧師の渋澤一郎主教様のもとで、新生病院チャプレンの仕事と、礼拝堂の仕事をはじめました。色々なメッセージを連載していきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

2018年5月1日(火)14時より、新生病院初代院長、R.K.スタート博士の記念式が行われました。そこで私は「サマリア人のたとえ」(ルカによる福音書第10章25-37節)をもとにお話をしました。以下にその話の概要を記します。
新生病院の療養・回復者と、職員の方々からなる集いは「山彦会」という名前です。この名前の由来については、詳しいことはわかりません。しかし、記念誌『久遠の光』を読むと、ある会員の執筆者は次のような言葉を残しています。「いろいろの時代の波の中に、亡国病といわれ死を覚悟した人びとが、血を吐く想いを、いろいろな問いかけを、心の中であの白い天井に叫んだことでしょう。...(中略)それに答える大きな『こだま』が何時の間にか我々の心の中に届いておりました」。かつて日本には、死の病とされた結核に苦しむ、無数の声なき声、言葉なき言葉があったのです。スタート博士はこの呼びかけに応えるこだま、山彦として、1931年にカナダから小布施にやってこられました。そしてその一生を、病む人のために献げたのです。

「サマリア人のたとえ」には、盗賊に襲われて半死半生の身となった人が登場します。そして、異邦の民とされ、ユダヤの人々から蔑まれていたサマリア人が心の底から「憐れに思い」、自らの持つもの、才能、情熱のすべてを尽くして、傷ついた人を看病する様子が描かれています。スタート博士もまた、病む人の傍らに立ち、自分の弱さや無力さを知る、一人の人間でした。しかしその献身的な姿の中に、神様は働かれたのです。スタート博士は世界の片隅を照らす光として、多くの人の命を救いました。その姿は今も私たちの胸を打つのです。

私達は、スタート博士のように、サマリア人のように、声なき声に耳を傾けられるでしょうか。こだま、山彦として、その声に応えるものとなることができるでしょうか。こだまは多くの場所に反響します。その応答する声は各地に広がって、連帯し、応答し合って、再び苦しむ人を包むのです。私達も誰かのこだま、山彦となりましょう。働きはささやかなことであってよいのです。時代がうつり、結核が猛威をふるった時代は終焉し、高齢化社会が到来し、慢性病が死因の大半を占める時代になりました。これからも、私達はイエスの御名を呼び、祈りつつ奉仕し、こだまとして、山彦として、共に生きていこうではありませんか。


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