文字サイズ変更

【当日受診のご相談】?026-247-3099【外来予約センター】?026-247-5517
お問い合わせ
日本医療機能評価機構

関連リンク

小布施日和

TOP > チャプレンからのメッセージ >コリントの信徒への手紙二 12章 9節

チャプレンからのメッセージ

わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ。
コリントの信徒への手紙二 12章 9節

 8月のある日、車いすに座っているAさんと付き添っているお連れ合いさん、担当医と研修医が一緒に売店の前でコーヒーを飲んでいました。私はご夫妻にあいさつをして一緒に傍に座りました。と同時に、私の心には感動が湧いてきました。

 時は少し遡り、7月25日に花火を見に自宅へ行きたいと希望していたAさんは、外出が大丈夫かどうか医師と看護師が色々検討するほど体調はあまりよくありませんでした。ベッドで眠る時間も長く、話しかけてもなかなか声が出ず、うなずくか首を振って意思表明はできるけど、あまり食事もできず色々気になっていました。私がお部屋へ訪ねた時、チャプレンであると自己紹介をして、ベッドの傍へ座って、お話をした時に見せてくださった微笑みと、力いっぱい握ってくださった手の強さを覚えています。
 愛する家族と一緒に過ごしてきた自宅で、窓の外で見える花火を楽しみ、病院に戻ってきてからは、痛み止めなどの薬調整も効果が現れて、少しずつ元気な様子が見られていました。担当医も嬉しそうで、元気そうなAさんをよろしくと言っていました。 数日後、病室に行くと、目には痣ができていて驚きました。理由を訪ねると、トイレから帰って来る時にぶつけたそうです。他の方であれば、痣ができるほどぶつけているのだから心配になるのですが、それでも自力でトイレまで行けることが嬉しく感じました。

 そのようなAさんが、今、病院の売店の前で車いすに座って、お連れ合いさんと一緒に野球を見ている姿がどれほど嬉しくありがたいことか。お連れ合いさんもAさんの姿が奇跡のようだと喜んでいました。
 次の日はAさんのお誕生日でした。部屋に飾ってある真赤なバラとチューリップは、誕生日のプレゼントだったそうです。誕生日のプレゼントとしてお花をもらったのは初めてだと言うAさんの傍で、そんなことないでしょうと言いながら、お花は初めてかなというお連れ合いさんとAさんの微笑みと涙は二人の絆を感じさせます。

 病の生活の弱さの中で命と愛情の強さを感じます。これからも看護師や医師と共に、Aさんとご家族を見守りながら、心から応援します。 主に感謝。

<日本聖公会中部教区 司祭 フィデス金善姫>