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小布施日和

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チャプレンからのメッセージ

最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。 まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは
マタイによる福音書 20:12

     

上記の聖書の箇所の不平の言葉は、現代の私達には、もっともだと思う話であると思います。 しかし、イエス様は、このような不平を言った人々に、「友よ、あなたに不当なことはしていない。 あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。自分の分を受け取って帰りなさい。 わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。」と語られた後、 「このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる」と教えてくださいました。  

まず、思い巡らしたいことは、夕方まで雇ってもらえずに立ちつくしていた人、その人の気持ちです。雇ってもらえないというその人の痛みは、根本的な、私たちみんなに共通するテーマをはらんでいます。すなわち、自分は意味のないもの、役に立たない人間、誰からも必要とされず相手にされない存在だという、自分の存在の根っこに関わる痛みなのです。夜明けから夕方までそういう思いでずーっとひとり立っていた、その人の気持ちが分るでしょうか。そのようなひとりの人間のところへ神さまが来て、「私のぶどう園においで」とそう招いてくださるばかりか、なんとほかの人と同じ、あるいは、ある意味それ以上の報酬をくださるのです。
現代の私達は、効率化というような基準にとらわれ、どれだけの人が、どれだけ働いて、どれだけ効率よく、成果をだすことができるかが重要です。そのような数字にあらわれる世界は、もう、学校の生活から始まって、この世界にまん延しています。
しかし、その効率化という数字の世界に対抗していかなければならない場面もあります。人間の価値は、数字では測れないということを、イエス様は、最後に、「このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる」と語られました。すなわち、天国は、「先にいる者が先になり、後にいる者が後になる」というような効率化の基準だけではないのです。朝から働いた人たちも不平をいうのではなく、「おい、夕方の5時すぎに来たおまえ、おまえも1デナリ貰ったのか、よかったなあ」と言って肩を抱いて一緒に喜んで、人の痛みをともに分かち合う社会が来るように、共に働いていきたいと思います。

<新生礼拝堂牧師 司祭 ヨセフ石田雅嗣>